第46章 【第四十五訓】真選組動乱篇 其ノ二
この隊士達は土方の命を狙っている。
彼等は敵なのだろうか――
ならば、山崎が殺害されたという言葉に信憑性はあるのか――?
「○○さん!?」
新八の声を背中に受けながら○○は走る。
生きているのならば、彼は万事屋に現れるはずだ。
だが、そこに山崎の姿はなかった。
――危険なので今は屯所には近づかないで下さい。
「山崎……」
○○は拳を握りしめる。
山崎は安否不明。土方は命を狙われている。
忠告を聞き入れている場合ではない。
屯所の前には二人の見張りが立っていた。二人とも知らない顔。
彼等は敵なのか――味方なのか――
彼等の目を掻い潜って屯所へと侵入することは出来ない。
○○は方法を考えるが、その機会はいとも簡単に訪れた。
爆発音がし、二人は建物の裏へと走って行った。
○○は身を低くして門の中へと侵入する。
中に入ってしまえば、勝手知ったる庭。
人目を避けて移動することは容易い。
だが、ここにも山崎の姿は見つけられなかった。
○○は山崎の部屋へ足を踏み入れた。
男所帯。掃除など全くしない隊士が多い中、山崎の部屋は比較的綺麗に整理整頓がされている。
もう、この部屋に主が戻って来ることは本当にないのだろうか。
棚の上には予備の隊服が置かれている。
山崎がこの隊服に袖を通すことは二度と……
○○は隊服を握りしめた。