第45章 【第四十四訓】真選組動乱篇 其ノ一
「オイ、神楽!」
突然聞こえた銀時の大声に、○○と山崎は揃って視線を上げる。
玄関が蹴破られる音と共に神楽が頭上から降って来た。
それを追うように銀時も二階から飛び降りる。
「人様のモンに手ェつけるような意地汚ねー娘に育てた覚えはねーぞ!」
「子は親の背中を見て育つアル。銀ちゃんの教育の賜物ネ!」
「二人ともただの泥棒でしょうが!」
二人を追い、新八は階段を駆け足で下りて来た。
「あ、○○さん! プリンがピンチです!」
「プリン?」
○○は二人が奪い合っているものに目を向ける。
「返せ!」
「離すネ!」
銀時と神楽の手は一つの小さな瓶を掴んでいた。
「私のプリンじゃない!」
それは昨日、○○がアルバイト先で常連客にもらったものだった。
スーパーで安売りしているものとはわけの違う、食べたことのないような高級プリン。
「食べるなって言ったでしょ! そこに書いてある字が見えないの!!」
蓋には『食べた奴は切腹 by○○』と大きく墨書されている。
○○がアルバイトに出た後、銀時は当然のように冷蔵庫からプリンを取り出した。
それを見た神楽は「ズルイ!」と声を上げ、それを見た新八は死守しようと争奪戦に参戦。
プリン一つを巡り、三人は往来にまで飛び出した。
「食べません~。飲むんです~」
「一休さんかアンタ!」
銀時の手に飛びつき、○○はプリンを取り返そうと争奪戦に参加。
新八は戦いから離脱。銀時、神楽、○○の三つ巴の様相を呈する。