第44章 【第四十三訓】集え、バベルの勇者達!!の話
「うわぁ!」
突然床が揺れ、全員がバランスを崩す。
屋形船は徐々に角度をつけ、箸や料理、様々なものが床を転がって行く。
○○は傾斜の最上階、小上がりになっている部分までどうにか走り、柱を掴んだ。
窓の木枠から外を見れば、景色が徐々に下方へと移動している様子が見て取れる。
河川に浮かんでいた屋形船はどうやら空へと上昇している模様。
○○の目の前を、
「腑抜けた幕府に天誅!!」
と叫びながら桂が、
「御用改めである! 桂ァァァ!!」
その後ろを近藤が滑りながら追って行く。
「アイツら記憶取り戻しやがった!!」
二人とも○○には気づかずに滑って行ったが、次に鉢合わせすれば一巻の終わりだろう。
一巻の終わりに向かっているのは○○だけではなかった。
「うわァ! 銀さん!!」
桂が滑りながら銀時に激突。銀時は船の縁へと滑り落ちて行く。
既に屋形船はかなり高度を上げている。
落ちればひとたまりもない。
「銀さァァん! って、戻って来んなァァ!!」
桂と近藤が再び方向を変え、○○の方へと向かって来た。
○○は屏風で顔を隠す。
二人の目を掻い潜りながら銀時の元へと向かうことは不可能。
「せめて笠があれば」
○○は周囲に目を配るが笠どころか何も見当たらない。
全て地上へと転がり落ちてしまっている。
○○の目の前を再び桂が滑って行った。