第44章 【第四十三訓】集え、バベルの勇者達!!の話
「違うと言ったはずだ。さっき教えただろう」
○○と銀時が延々とイチャつき合っている最中、聞き覚えのある声が聞こえ揃って目を向けた。
「攘夷がJOY! JOYが攘夷!」
そこには見覚えのあるロン毛が見覚えのない格好で立っていた。
背後にはエリザベス。見紛うことなくそれは桂だ。
普段とは違うラフなパーカーに身を包み、帽子を被っている。
手にはラジカセ。
「ハイ、JOY!」
「JOYぃぃ!!」
銀時は桂の後頭部に飛び蹴りを食らわせる。
「てめー、人の誘い断っといてノリノリじゃねーか!」
合コンのメンバーを集める際、銀時は桂にも声をかけた。
だが、そんなふしだらな会合参加するわけがあるまいと断られていた。
「もしや○○殿も参加するのではないかと思ってな。○○殿を合コンに参加させるなど、猛獣の中に赤子を放り込むようなもの……。銀時、○○殿に危ない真似をさせるな」
○○殿は俺が護ると、桂は勝手な使命感に燃えている。
「おめーの存在が一番危ねーよ」
桂にツッコむ銀時の背後から、またしても覚えのある声が聞こえて来た。
「私はあなたとは違うの」
「ストーカーだよ~、お前も~!」
ノコノコと現れたのは合コンの開催を聞きつけ、誘われてもいないのにやって来た近藤とさっちゃんのストーカーコンビ。
「げ! マズイ!」
○○は声を上げる。
テロリストと警察。桂が近藤に見つかればまた追いつ追われつの展開が待っている。
しかしそんなことより重要なのは、○○自身の問題だ。
桂がここで○○の名を口にすれば、○○が桂と知り合いであることが近藤にバレてしまう。
○○は家康像の陰へと姿を隠す。
「ヅラァァァ! ちょっとこっち来いィィィ!」
近藤に見つかる前に、桂の姿をその目から隠さねばならない。
○○は桂に向かって手招きをする。
「そんな人目につかない所に俺を誘い込んで、一体何をしようというのだ」
桂は顔を赤らめる。
「記憶を失った○○殿はどうにも積極的だな」
以前にはラブホテルに連れ込まれそうになったこともある。
すぐ傍まで迫っている敵の大将に気づく様子もなく、桂は一人で胸をドキドキとさせている。