第43章 【第四十二訓】沖田姉弟と気にくわねェ野郎の話 其ノ二
「何してるんでしょうね、あの人達」
ミツバも扉の方へと目を向けた。
「アラ、噂をすれば」
○○とミツバの視線の先に戻って来た銀時の姿が入った。
その周りに人影はない。
「山崎は?」
「けーったよ」
銀時は○○の隣に腰を下ろした。
「山崎さんと何を話していたんですか?」
ミツバが銀時に問うが、銀時ははぐらかした。
○○はベッドの下に目を向けた。山崎が身を潜めていた場所。
密偵の山崎が何の意味もなく動くことなどない。
山崎の主な任務は攘夷浪士の動向を探ること。
ミツバが攘夷浪士のはずはない。
彼女をマークする理由がどこにあるというのだろう。
今回の山崎の行動は彼が自発的に行ったことではないだろう。
山崎にミツバの見張りを指示した人物は他でもない……
「ケホッ」
「オイ、大丈夫か?」
突然ミツバが咳き込み始め、○○は目を向ける。
その顔を見て○○は息を呑んだ。
つい先程まで何ともなかった顔色が青白くなっている。
血の気がない。
「オイッ!!」
「ミツバさん!」
真っ白いシーツがミツバの吐く鮮血で染められる。
○○が呼出ボタンを押すとすぐにナースが駆けつけ、ミツバは集中治療室へと運ばれた。
彼女を銀時に任せ、○○は屯所へと電話をかけに走った。
血相を変えて駆けつけたのは沖田と近藤の二人だった。