第43章 【第四十二訓】沖田姉弟と気にくわねェ野郎の話 其ノ二
特にトシなんかは私が自分で屯所を出て行くまで反対していた、という言葉を○○は呑み込む。
――どのツラ下げて姉上に会いにこれたんでィ
一人帰った沖田を追いかけ、○○はミツバが倒れたことを告げた。
屋敷へと戻った沖田は、土方の姿を見てそう口を開いた。
土方を見て倒れてしまったミツバの様子を見ても、彼等の間に何かがあったことは明白。その名を出してはいけないと、○○は口を噤む。
○○が屯所にいたと聞いて悲しげな表情を見せたのも、女性の身でありながら土方の傍に身を置いていた○○を羨ましく思ったからではないかと○○は思う。
「でも、総悟は……あ、総悟君は最初から反対せずにいてくれましたよ」
「総悟でいいですよ」
ミツバはクスクスと淑やかに笑う。
「近藤さんが決めたことなら、あの子は反対しませんから」
たとえゴリラでもストーカーでも、真選組隊士達は近藤に全幅の信頼を置いている。
○○も同様だが、とりわけ沖田の近藤に対するそれは絶大だと○○は感じていた。
それが幼少期の経験から来るものだとは、ミツバに聞いて初めて知った。
「それに山崎も。早くから味方になってくれて、助かったんですよね」
○○は扉に目を向けた。
○○と銀時が病室にやって来た時、なぜか山崎がベッドの下に潜んでいた。
山崎は銀時に連れ出され、二人とも戻って来ない。
「突然アフロになるような意味不明な奴ですけど」
ミツバは小さく微笑んだ。
先日、運転席から出て来たアフロの正体は山崎だった。
暗い夜道では顔がわからなかったため全く気づかなかった。