第43章 【第四十二訓】沖田姉弟と気にくわねェ野郎の話 其ノ二
翌日になっても、ミツバの体調は戻らなかった。
それどころか衰弱する一方。
もう、長くはない。誰もが覚悟を決めている。
○○と銀時は昨日から病院に留まっている。
沖田は一睡もせずにずっとミツバの様子をガラス越しに見ていた。
近藤は一旦屯所へと戻り、先程また一人で戻って来た。
「やっぱりトシは帰ってないんだね」
○○は屯所へと電話を入れた。
土方は昨日から屯所には帰っていないらしい。
近藤から聞いている。
近藤と土方は、ミツバと武州にいた頃からの友人だと。
しかし、土方とミツバはただの友人関係ではないだろう。
「トシ」
○○は受話器を置くと呟いた。
部外者である自分が口を挟んでいい事柄ではないかもしれない。
それでも。
「このままじゃ……」
ミツバが危篤に陥っている今、姿を見せなければ永遠に会うことは叶わなくなる。
土方同様、山崎も屯所には戻っていないという。
山崎はミツバを張り込んでいた。
それは土方の命令によるものに違いない。
山崎ならば土方の居所を知っているはずだ。
「キャアアアア!」
治療室の前に戻る○○の耳に、女性の叫び声と金属が散らばる音が聞こえた。
何事かと角を曲がると、沖田が倒れているのが目に入った。
倒れた沖田の背後にはナースがおり、彼女が引いていたワゴンから様々な治療具が床に散らばっていた。
どうやら近藤が沖田を殴り飛ばしたらしい。
「何して」
近藤に目を向けた○○は隣にいるその姿に気がついた。
「山崎!」
そこには捜していた山崎の姿があった。