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~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第7章 【第六訓】人生ってオッさんになってからの方が長い話


「総悟は屯所のみんなに知らせろ! それからお前らは、先に○○を捜しに行け!」
「は、はい!」
「はい! じゃねーだろ!」

 近藤の命令を実行に移そうとした隊士達を土方は止めた。
 沖田はやれやれといった風に肩をすくめる。

「放っとけよ。アイツもガキじゃねーんだ。バイトして金貯めて、ホテル借りたり何なり、するつもりだろ」

 土方は手紙を沖田に返すと、座卓へと戻った。

「ガキじゃなくても、○○は真選組以外に知り合いもいねーんだぞ! 孤独の寂しさで死んだらどうすんだ!」
「うさぎか!」

 過保護な近藤に呆れつつ、つっこまずにはいられない。

「大体、俺ァ女を屯所に置くこと自体反対だったんだ。いい機会だ」

 新しいタバコを一本、口に銜える。

「トシは○○が心配じゃねーのか!? ○○は記憶がねーんだぞ! 生まれたての小鹿なんだぞ!」

 近藤はなおも涙目だ。

「いつの話だ。記憶がねーたって、今は普通に暮らせてんだろーが」

 一つ、気になる点はあるが、他は普通の女と変わらない。
 屯所に置いておくよりは、自立して暮らせるならその方がいい。
 土方は煙を吐き出すとテレビに目を向ける。
 つけっ放しのテレビでは朝のニュースが続いていた。

 ――かぶき町ローカルニュースです。今朝未明、女性の死体が発見され、警察は身元の確認に急いでいます。

 みなの視線がテレビに集まる。
 近藤はみるみるうちに顔を青ざめさせ、奇声を上げながら一目散に走って行った。
 目指す先は警察庁。その死体が安置されているであろう場所。

「ったく。過保護にも程があるぜ」
「自分のせいで出て行った女が死んだかもしれねーってのに、その余裕。大した神経をお持ちのようですねィ、土方さんは」
「うるせェ! ○○なわけねーだろうが! てめーはとっとと着替えて来い! いつまで休日気取りだ!」

 ひとしきり怒鳴ると、土方は自室へと大股歩きで消えて行った。
 その姿を見送ると、沖田も自室へと着替えに戻った。
 自室に入った土方は扉を閉めて一息吐くと、携帯電話を懐から取り出す。
 メモリに登録された番号をクリックし、耳につける。

「もしもし。土方です。今朝かぶき町で見つかった女の死体の特徴を教えて下さい」

 電話先は、警察庁。
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