第41章 【第四十訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ五
「新郎新婦、入場です!」
歓声と盛大な拍手が鳴り響く。
扉が開き、紋付羽織袴の近藤が姿を現す。隣には花嫁。
ウェディングドレスを身にまとった、新郎よりも三倍でかいバブルス王女。
バージンロードを歩き、二人は○○の座る円卓を横切って行った。
○○は真選組隊士達が座る一帯に目を向けた。
形だけは拍手を送っているが、全員の顔色が優れない。
披露宴ではなく、通夜に出席しているが如き面持ちだ。
「銀さん、人間一体、どう転ぶとあんなことになるんですか?」
新八も形だけは拍手を送りながら、隣で同様に拍手をしている銀時に問いかけた。その隣に○○。そのまた隣の神楽はもさもさとバナナを食べている。
「旦那、笑い事じゃないですぜ」
銀時の後方から沖田が声をかけて来る。彼は柳生との決戦で骨折した右足を松葉杖で支えていた。
沖田はこの披露宴をぶち壊してほしいと銀時に頼みに来た。
(こちら近藤。応答願います! どーぞ)
沖田の懐から近藤の声が聞こえ、○○は目を向けた。
沖田は懐にトランシーバーを持っていた。近藤と繋がっている。
近藤が万事屋一行を披露宴に招待したのは、祝ってほしいからではもちろんない。
披露宴をぶち壊し、この結婚を破談にするためだ。
この縁談は松平から持ち込まれた政略結婚。
真選組は逆らえない。
「ドコ産だ? どーぞ」
沖田の手からトランシーバーを奪い、神楽が近藤と通話する。
さらには銀時もトランシーバーを手にし、近藤に伝える必要の全くない会話のやり取りをする。
「便所どこ? どーぞ」
「旦那、俺が案内しやす。こちらへどーぞ」
通話を切り、銀時を厠へと案内しようとした沖田だったが、○○の姿を見て足を止めた。一瞬何かを考えた後、振り返って○○の元へと歩み寄る。
「○○、近藤さん助けたくねーか?」
「そりゃア……このままゴリラの惑星に連れ去られるのは可哀相だけど……」
かといって、何の手立てもない。