第40章 【第三十九訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ四
「神楽ちゃんは? 神楽ちゃんはどうしてるか、知ってる?」
「え! あ、神楽ちゃんは、えー、大丈夫だと思います。きっと」
疑惑の渦中にある少女の名前を聞き、新八の声は上擦る。
「確実に無事なのは新八君だけか……」
恐らく銀時も無事だろうが、希望的観測に過ぎない。神楽も同様だ。近藤は全くの不明。
満身創痍の土方は、九兵衛を相手にどこまで戦えているのかわからない。
新八が残っている限り負けにはならないが、一人しか残っていないのなら、九兵衛と、先程○○がやられたあの老爺を相手にするのは不可能だろう。
「○○さんもいるじゃないですか」
○○が自分のことを数えるのを忘れていると新八は思ったが、○○は不貞腐れたような表情で呟いた。
「いないよ。私は」
「え?」
新八は○○の頭上に目を向ける。
走りながらということもあり、その形状はよく見えないが、円形ではなくなっているように見えなくもない。
「割られたんスか!」
「トシも気づいてなかったみたいだけど」
気づいていたら、新八を任せる言葉は言っていないはずだ。
あの緊迫した場面で「ごっめーん。私もうお皿割られてる~」とは言えるはずもなかった。