第39章 【第三十八訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ三
「こっちも大将ムキ出していこうぜ!」
新八の腰の高さに屈み、近藤が手を伸ばしていた。
新八はいつの間にか自分の股間につけられていた皿に目を向ける。
「一発KOです、そんなトコ!」
膝を割られた場合は長期の治療が必要だが、一発のダメージはこちらも相当なものだ。
「ってか、僕が大将!?」
大将は恒道館主の新八。
門弟として乗り込んでいる以上、新八が大将という意見に反対する者はいない。
「○○さん、どこにお皿つけてんスか!」
○○が選んだのは、河童さながら頭の上だった。
耳の横を通した布を顎の下で結んでいる。
「即やられそうですよ、そんな所!」
「新八君ほどのダメージは食らわないよ」
「ダメージの面で言ったらそうですけど!」
剣道でいう面を食らえば即敗北となる。一番打ち込みやすい場所だ。
「銀ちゃーん!! 私、スゴイ事考えたアル!!」
手すりから下りて六人から離れた所にいた神楽は、ヒョイと右足を上げて見せた。
そこには皿が結わえつけられている。下ろした拍子にパキッという音が鳴る。
決戦を前に、神楽の皿は粉々に砕けた。
「柳生の人に言って、皿もらってこい!!」
銀時は神楽に言いつける。
行動を起こす前に、土方は提言した。
「単独行動は危険だ」
大将の新八は義弟を護ると燃えている近藤に任せ、残り五人。
土方、沖田、銀時、○○、神楽を二班に分け、別ルートで敵の大将を狙うことを提案する。
土方は沖田と○○を連れて行動を起こそうとしたが、その前に銀時と沖田は土方の話を聞き終えることなく先に進んでいた。
問答無用で銀時と行動を共にする○○も、二人の後を追っていた。