第6章 【第五訓】喧嘩はグーでやるべしの夕の話
「やめときやせんか。一日に二回も負けると、さすがに堪えるでしょう」
「言うじゃねーか、テメェ。刀を抜け!」
土方はすでに臨戦態勢。
対する沖田は、左右に分かれたテレビを合わせガムテープで巻いている。
「それより、近藤さん止めに行った方がいいんじゃないですかィ」
「近藤さん?」
「ピリピリしてるから気づかないんでさァ。きこえやせんか」
「何が」
耳を澄ませると、確かに聞こえた。
――○○!
――開けてくれって!
――お兄さんに全部話してみろ! 兄ちゃん、怒らないから!
「あのバカ!」
微かだが、近藤の声と扉を叩く音がする。
「テメェとの勝負はあとだ!」
「だから、言ってるでしょう。今日はやめといた方がいいですぜ」
「うるせェ!」
言い残し、土方は○○の部屋へと駆ける。
「そういやァ……」
一日に二回も負けると――
土方は昼間に剣を交えた銀髪男を思い出す。
あの太刀筋は、どことなく○○に似ている。
確か、前にも。
○○と似て非なる太刀捌きの人物と手合わせをしたことが……一体、どこで。
記憶をたどる前に、次の言葉で思考は遮られた。
――○○!
――言わないなら認めないぞ!
――素性のしれない相手なんて、兄ちゃんは絶対に認めません!
――そうだ! トシにしないか! トシなら……いや、トシでも認めません!!
「何言ってやがんだ!」
近藤の暴走を止めるべく、土方は先を急いだ。