第38章 【第三十七訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ二
柳生門下生をやっつけた七人は次なるステージへと向かう。
九兵衛の構える居城。
「ラスボス出て来るヨロシ!」
「お妙さァァん!」
男達の先陣を切り、神楽と○○はそれぞれの武器を掲げて歩みを進める。
「どこにいるアルか!」
広大な柳生家の敷地。
敵の本陣がどこにあるのか、皆目見当もつかない。
しばらく歩いていると、神楽が目の色を変えた。
「ムッ! 敵のニオイアル!」
神楽は一人、脱兎の如く駆けて行く。
「神楽ちゃん!」
○○は神楽の後を追う。
神楽は背の低い建物にへばりついていた。道場のようだ。
「か」
追いついた○○は声をかけようとしたが、神楽が口に人差し指を立てたために口を閉ざした。
神楽は壁に耳を当てて聞き耳を立てている。人の声がするようだ。
「ここから敵のニオイする」
神楽が囁く。○○は気配を殺し木枠から中を覗いた。
まず見えたのは、スキンヘッドの図体の大きな男の背中。
右側には赤髪の派手な風体の男、左には特徴のない黒髪の男。
スキンヘッドに隠れてよく見えないが、向こう側にもう一人いるようだ。
「敵のニオイっていうか、ご飯の匂い?」
奴等の前には膳が置かれている。
○○は何も感じないが、食欲魔人の神楽は敏感に匂いを察知したようだ。
男性陣が二人に追いつくと、神楽は扉を開けて飛び込んだ。
時を同じく、中を覗いていた○○の目には膳が吹っ飛ぶ様が目に入った。
スキンヘッドを越え、白米を撒き散らしながら茶碗が弧を描いて飛来する。