第38章 【第三十七訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ二
「我は天堂無心流、恒道館道場が当主、志村新八!!」
あと少しで石段を上り終えるという所で、声高に叫ばれた声が耳に届いた。
「姉上を返せェェェ!!」
「お妙さんを返せェェェ!!」
新八の声、続いて近藤の声だ。
○○ら四人よりも先に、彼等は柳生の門を破っていた。
「たった二人だ!! 囲んで斬り捨ててしまええ!!」
石段を上り切った先では、柳生門下達が二人に斬りかかろうとしていた。
銀時は木刀を一振り。
「わりーな。二人じゃねェ」
押し寄せる柳生門下生を、たった七人で迎え撃つ。
天下の柳生とはいえ、相手はただの門下生。
泣く子はもっと泣き叫ぶ武装警察真選組のトップ3と、坂田銀時率いる万事屋一派の四人を相手にするには荷が重い。
少数精鋭、万夫不当。一人一人が一騎当千の働きを見せ、次々と相手を薙ぎ倒す。
「この感覚、久しぶり!」
○○は敵を殴りながら声を上げる。満面の笑み。
「○○! テメェ、いつからそんなサディスティックな人間になったんだ!」
土方は自身も相手を薙ぎ倒しながら、笑顔で戦闘に臨んでいる○○に非難めいた言葉を投げる。
「退けェェ!!」
尋常ならざる敵の出現に、柳生門下生は散り散りに逃げ始めた。
相手がいなくなると、近藤は矛先を土方と沖田に向けた。
こんな大義もない戦いに、余計な奴を巻き込むわけにはいかない。
「心配いらねーよ」
土方には九兵衛への借りがある。それを返しに来ただけ。
「俺も我ァ通しに来ただけでさァ」
沖田は沖田で、オージョ改め近藤の見合い相手、猩猩星のバブルス王女を姐さんとして真選組に迎えるのを阻止するという目的がある。
「護りてーモンって、つまり自分かい」
○○は瞳を白けさせる。