第38章 【第三十七訓】天堂無心流VS柳生陳陰流 其ノ二
「股から卵たれてるぜィ。排卵日か?」
神楽に続いて道場に足を踏み入れたのは沖田。
沖田の体に隠れ、神楽の姿は○○からは見えていない。
飛来した茶碗が直撃した神楽の股からは、白米の上に乗っていた卵が垂れていた。
○○は土方、近藤に続いて道場に踏み込む。
同時に沖田は神楽に顔面を掴まれ投げ飛ばされていた。
投げられた場所は敵のど真ん中。
「よく来てくれましたね。道場破りさん」
沖田は刀を突きつけられる。
「得物を捨てな」
沖田の首元に刀を突きつけた赤髪の男が要求する。
「人質が……」
「うぉりゃああああああ」
すぐに六人は得物を手放した。
切っ先を敵陣へ向けて思いきりブン投げた。敵の四人と沖田は慌てて飛び退いた。
四本の木刀、一本の真剣、一本の傘が道場の床へと突き刺さる。
神楽と土方はもちろん、銀時と近藤、新八と○○までもが思いきりよく武器を投げた。
「そいつに人質の価値はねェ」
人質とするには誰よりも不向きな男。
眼鏡の男が刀を構えた時、
「やめろ。それは僕の妻の親族だ」
扉が開き、小柄な男が姿を見せた。料亭で妙と共にいた、独眼竜の少年だ。
新八は九兵衛と対峙する。道場の門弟である妙をもらいたいのであれば主である僕に話を通すのが筋。
天堂無心流・恒道館主の志村新八と門下生六人は、柳生陳陰流に勝負を申し入れた。