第36章 【第三十五訓】ホストクラブ『高天原』の話 其ノ二
銀時は○○の手にビール瓶を握らせると、グラスに注がせた。
「景気はどーですか、社長さん」
「ちっともよかねーよ。依頼もねーしな」
「不景気ですからね。今日はたくさん飲んでって下さいね。タダだし」
言いつつ、○○も手酌でビールを注ぐ。
「ここだけキャバクラになってるよ」
つーか今仕事中だぞ依頼あんだろと、新八は目の前の依頼人に目を向ける。
おばちゃんの存在を、銀時、○○、神楽の三人は忘れている。
新八だけは仕事を遂行。八郎のことを狂死郎に聞いた。
「八郎に何か?」
八郎のことを根掘り葉掘りと聞き出す新八に、狂死郎は聞き返した。
その最中、入り口で騒動が起こった。
八郎が吹っ飛ばされテーブルが割れる。
銀時、○○、新八の三人は低頭して身を隠し、入り口での騒動を見ている。
声は聞こえないので、何が起こっているのかはわからない。
「ありゃ恐らく、溝鼠組の黒駒の勝男」
乗り込んで来た男に銀時は覚えがあった。
かぶき町四天王の一人、泥水次郎長の所の若頭だという。
「ヤクよ、ヤク」
揉め事の原因を神楽はホストから聞いていた。
溝鼠組は『高天原』を麻薬売買に利用しようと企てたが、狂死郎が断ったことで嫌がらせを受けているという。