第36章 【第三十五訓】ホストクラブ『高天原』の話 其ノ二
「銀さん、何飲んでるの?」
自分に就いていた二人のホストを神楽に預け、○○は銀時のテーブルへとやって来た。
ホスト達を帰したため、そこには銀時と新八とおばちゃん、それから挨拶に来ていた狂死郎の四人が座っている。
銀時の隣に腰掛け、○○は置かれた瓶に目を向ける。
「なんだ、ただのビールか」
「お前、何飲んだんだ? 目が据わってんぞ」
○○は金色の液体の入った瓶を銀時に差し出した。
「おま、これ、テキーラじゃねーか!」
度数の高い珍しいお酒をと要求した所、ホストが持って来たもの。
一本五千円はする代物。『スナックお登勢』には置いてないし、真選組の屯所でも見たことがない。
「おまえコレ全部ひとりで飲んだんじゃねーだろーな」
瓶の中身は半分以上が減っている。
「お口に合いますか」
銀時と新八を挟んだ斜め向かいのソファから狂死郎が声をかける。
「とても美味しゅうございます」
狂死郎は笑顔を見せる。キラキラと輝く笑顔。
○○の周りでは見たことのない、きらびやかな雰囲気の男だ。
「さすがかぶき町NO1ホストだな」
狂死郎を見ていた○○の視界が遮られる。
間に銀時は顔を割り込ませ、○○の手からテキーラの瓶を引っ手繰った。