第36章 【第三十五訓】ホストクラブ『高天原』の話 其ノ二
「どうぞ」
シャンパンを傾けられ、○○はグラスを手に取った。
ホストクラブ『高天原』にて、○○は接待を受けている。
おばちゃんとメンチを切り合っていたギャルは、八郎の働くホストクラブで働く勘吉という男の知り合いだった。
勘吉がおばちゃんに手を上げようとした所を銀時に叩きのめされ、揉め事を起こした勘吉は八郎から制裁を加えられた。
お詫びにと、彼は万事屋一行とおばちゃんを自分達の店へと招待した。
「オロナミンCくらい飲めるの」
○○と同じテーブルに着く神楽は、ホストを侍らせて女王様気分を満喫中。
店内に視線を巡らせると、若い女の子達が目当てのホストと楽しそうに談笑している姿が目に入る。
「次」
○○は早くもグラスを空にし、二杯目を要求した。
今宵の酒代はタダだ。飲めるだけ飲まなければ勿体ない。
「お酒、お強いんですね」
○○に就くホストは営業スマイルを浮かべる。
最高のもてなしをするようにと、店のオーナーであり、かぶき町NO1ホストの本城狂死郎から言われている。
「シャンパンなんてただの炭酸飲料でしょ」
グビグビと、一気に○○はグラスを干す。
「そうアル。オロナミンCと同じヨ。○○、それ寄越すアル」
「ダメアル」
隣のテーブルにいるホスト達は、○○と神楽のテーブルを羨望の眼差しで見ていた。
自分のテーブルにいるのは、銀時と新八という男二人、それから、
「いやぁぁぁ!!」
叫び声を上げるおばちゃんというメンツ。
おばちゃんは「おっぱいを触られた」「いやらしい目で見ている」と、ホスト達に難癖をつけている。
男二人と、自意識過剰で被害妄想全開おばちゃんの相手に比べたら、隣のテーブルは天国だろう。