第35章 【第三十四訓】ホストクラブ『高天原』の話 其ノ一
「深読みしてんじゃねェェェ!!」
金だ金と叫ぶ銀時の横を通り、○○は居間へと足を踏み入れた。
「簡単に受け入れちゃダメですよ、おばちゃん」
布団の横に膝を着き、おばちゃんの耳にこっそりと囁きかける。
こっそりと、だがその声はリビングにまで筒抜けだ。
「銀さん、激しいですから。それにいつも変な体位させ――」
「お前は何を喋ってんだァァァ!!」
銀時は大声で○○の発言を妨害する。
見知らぬおばちゃん、さらには新八と神楽までいる場所で性的嗜好を晒されては堪らない。
前者はともかく、後者の方が問題だ。
よっこらしょと体を起こすと、おばちゃんは○○と銀時の顔を交互に見た。
「アンタら夫婦?」
「いいえ、夫婦じゃないです」
○○は首を振る。
「そう。じゃあ、ちゃんと避妊はしなさいよ。出来ちゃったなんたらなんて、世の乱れもいい所よ。家族っていうのはね、家庭の中に増えるものなのよ。それが今の子達は何? 家族が増えたから家庭を作ろうなんて、順序が逆よ」
盛大な溜め息を吐きながら、おばちゃんは首を振った。
「んなヘマしねーよ」
「大丈夫ですよ。ああ見えて銀さん、そこら辺は律儀なんで。責任云々言われるのが嫌なんですよ、多分」
わあわあわあと言いながら、新八は神楽の耳を塞いでいる。