第6章 【第五訓】喧嘩はグーでやるべしの夕の話
「そうじゃねェだろーが。ドラマも『レディス4』も女子高生も、しったこっちゃねェ」
華麗な一太刀を振り、土方は刀を鞘に収めた。
「テレビが……」
「あーあ。テレビはみんなのものですぜ。土方さんの一時の感情で壊されたとあっちゃ、堪まんねーや」
振り下ろされた真剣は、機械の箱を真二つに叩き斬った。
電子回路が露になり、火花を散らして煙が立ち昇っている。
「最低! 物は大事に使えって、教わらなかったの!」
「こんな短気な子を持って、お母さんもさぞ大変だっただろーに」
「育て方が悪かったのかもしれないよ」
「いや、この眼つきの悪さ、生まれつきの性格にちげーねェ」
○○は怒って、沖田は面白がって土方の悪口を言い連ねる。
「塵一つでも生態系は崩れるんだから! 物を粗末に扱うんじゃありません!」
「お母さんでさァ」
「家計も厳しいのに、この子はちょっとしたことで物に当たるんだから!」
○○は目頭を着物の裾で押さえた。
「お母さん泣かせるたァ、最低でィ。金魚ばっかり構ってねーで、ちったァ家族のことも考えたらどうなんでィ、多串君」
二人のやり取りは土方の怒りを増幅させた。
「いい加減その腹立つ三文芝居やめねーと、今度はてめーらの頭を叩っ斬るぜ」
ゆっくりと刀を再び抜くと、切っ先を二人に向けた。