第6章 【第五訓】喧嘩はグーでやるべしの夕の話
「あ、ごめん。トシも食べたかった?」
その原因を○○は煎餅と解釈。
「そうじゃねェ! テメェ、何を呑気にドラマの再放送なんて見てやがる!」
土方は視線を上げると、双眸をギラつかせて声を上げた。
その横で沖田はゆっくりと歩みを進める。
「そうですぜ。夕方四時は『レディス4』に決まってまさァ」
沖田は○○の隣に腰を下ろすとチャンネルを変えた。
「多串君のせいで、あと十分しか見られねーや」
「ちょっと! 私が先に見てたんだから変えないでよ!」
○○は再びドラマへと局変更。すると再び沖田も局変更。
醜いチャンネル争いが勃発。
「今までドラマ見てたくせに、いつから『レディス4』に鞍替えたの」
「男心は複雑なんでィ。女子高生の人間関係みたいにごちゃごちゃして収拾がつきゃしねェ」
リモコンを取り合う二人の後ろで、土方の肩は未だ震えている。
こめかみに次第に青筋が走る。
「トシも今まではドラマの再放送見てたよね。トシもそうなの? 女子高生並なの?」
振り返った○○の真横を、銀色の鈍い光が横切った。