第34章 【第三十三訓】一日局長に気を付けろッテンマイヤーさんの話
公務執行妨害で、銀時、新八、神楽の三人は逮捕された。
手錠をかけられ、パレード用のワゴン車の後部座席に乗せられている。
「オイオイオイ、扱いがおかしいんじゃないですか!? 元仲間の罪は揉み消しですか!?」
銀時が声を荒げる。
○○だけは拘束されることなく、車外で自由の身となっている。
○○は「ハッ!」と言いながら、サイドミラーに手綱を投げている。
土方は腕を組みながら呟いた。
「アレは……アレだ。○○は寺子屋のガキどものとこには行かなかったからな。な、近藤さん」
「そうだ。○○は悪くない。悪いのは○○を巻き込んだお前ら三人だ」
お通ちゃんに頼まれたと新八は弁解するが、近藤も土方も聞く耳を持たない。
○○はなおもサイドミラーに手綱を放つ。
「ハッ!」
とうとうその手綱はかかった。
沖田の首に。
「何しやがんでィ。テメェもSに目覚めたのか? 俺を飼いならそーなんざァ、百万年早ェよ」
「総悟が勝手に手綱の先に入って来たんでしょうが!」
Mか? ドSからドMへ360度転身か? と、○○はつっこむ。
「360度回ったら、またドSだろーが」
「オイ、総悟。一日局長は」
助手席から土方が声をかける。
万事屋とのイザコザが起こって以来、通の姿が見えていない。
ウンコだろ小便だろあの日だろと、局長副長一番隊長は言いたい放題。
沖田の首から手綱を取りながら、○○は彼等の会話にドン引きしている。
「副長ォォ! いました!」
隊士の指さす先はオーロラビジョン。
映し出されたニュース映像の中に、通の姿はあった。
攘夷浪士集団『天狗党』による立てこもり事件の中継だった。