第34章 【第三十三訓】一日局長に気を付けろッテンマイヤーさんの話
モグモグと、○○は牛すじを頬張る。
その横で、誠ちゃんに成り切った銀時は頭を抱える。
「やっちゃったな~」
「やってないから。大丈夫だよ」
真っ昼間から、しかも仕事中に銀時も○○も飲んだくれている。
「やっちゃったな~」
哀愁漂う誠ちゃんを慰めながら、店の主人は漬物を差し出す。
「やってないって。ダメだって。認めたら」
○○は横から箸を出し、銀時に出された漬物を掻っさらう。
漬物を食べながら、ちびちびと日本酒をあおる姿はまるでオッさん。
「やっちゃったな~オイ」
「やっちゃったじゃねェェェェ!!」
上半身が消えたことに気づいた土方は、居酒屋に誠ちゃんの姿を見つけて踵落としを食らわせた。
○○の隣で誠ちゃんの額がカウンターに打ちつけられる。
○○はマスクをつけ直して顔を隠す。
「まさかあんな森の中で人間が出て来るとは思わないものな~」
額を押さえながら、誠ちゃんは懺悔を続ける。
「オイぃぃぃ!! なんか恐ろしげな事件の全貌が露に……」
「ちがーうよ。首吊り自殺してた女の子を下ろしてあげただけだよ、我々は」
○○はサングラスを上げながら呟いた。
「自殺に見せかけるための偽装工作じゃないんだよ、あの手綱は」
「既に自白してんですけど、この人!」
「誠ちゃん! こっち、早く早く!」
声を上げる土方の後ろ、表の通りから通が誠ちゃんを呼ぶ。
寺子屋から下校する子ども達が通りかかっていた。
「子どもは純粋だからイメージを植えつけやすい!」
誠ちゃんは店から飛び出すと、着ぐるみへと上半身をつっこんだ。
脚が六本の状態で、誠ちゃんは子ども達の元へと走る。
途中で神楽扮する死体が落下、死体はむくりと起き上がり、自分の足で子ども達の所まで走った。
「ぎゃあああああ!!」
「助けてェェェ!!」
子ども達の悲鳴が轟く。
「まァ、こうなるよね」
正体が露見し、怒り心頭の隊士達に銀時、新八、神楽は袋叩きにされる。
サングラスとマスクを外した○○は、焼き鳥を銜えてその様を眺めていた。