第34章 【第三十三訓】一日局長に気を付けろッテンマイヤーさんの話
植え込みの後ろに隠れ、万事屋一行は彼等の到着を待つ。
「大丈夫かなァ。この変装で」
○○は帽子を深々と被り、顔を隠す。
黒のロングブーツにジーパン、厚手のゼブラ柄ウールシャツの上にジャケット。首にはバンダナ。
カウボーイの格好で、○○は手綱を手にしている。
顔には、正体を隠すための大きなサングラスとマスクを着用。
「○○さ……僕……変わ……か?」
「え? 何?」
○○は馬の胴体に耳を当てる。
そこから聞こえる声は微かなものだ。
「○○さん! 僕と! 変わりますか!!」
新八は声を張り上げた。
新八は今、馬の着ぐるみの後ろ脚に入っている。
「絶対イヤ。そういうのは、新八君がお似合いでしょ」
「どういう意味ですかァァァ!!」
通からの依頼は『一日真選組のマスコットキャラになってほしい』というものだった。
近頃の真選組は、怖いだの物騒だのと、市民に忌み嫌われている。
そのため、イメージを払拭しようと近藤の発案で寺門通を一日局長として呼ぶことにした。
その話は○○も知っていたが、万事屋として関わることになるとは思わなかった。
「バレたらロクなことにならないだろうなァ」
○○は馬の頭を見る。上半身を担っているのは銀時だ。