第34章 【第三十三訓】一日局長に気を付けろッテンマイヤーさんの話
「お通ちゃんが置いて行ったんです」
「お通ちゃん? お通ちゃんって、あのお通ちゃん?」
「もちろんです」
「今日の依頼って……」
「お通ちゃんからです」
どうりで新八のテンションが高いわけだ。
昨夜の電話でも新八は上機嫌な様子で、どんな依頼なのか尋ねている最中に「よろしくお願いしまーす!」と一方的を切られてしまった。
「人の話を聞け!」とつっこんでも聞こえて来るのはツーツーという機械音のみ。
「お通ちゃんがどうして万事屋なんかに依頼?」
こんな場末の胡散臭い何でも屋に、一度は干されたとはいえ、今やトップアイドルに返り咲いた寺門通が何を頼むというのだろう。
そもそも、万事屋のことを知っていること自体が驚きだ。
「あれ、○○さん知りませんでしたっけ?」
通には以前にも依頼を受けたことがあり、そこそこに親しい間柄だという。
「知らない、知らない」
そんなことは初耳だ。
○○が手を振っている最中に、居間の襖が開いた。
○○と新八はそちらへと目を向ける。
出て来たのは、フッサフサの立派な顎ヒゲを蓄えた、下着姿の銀時だった。