第31章 【第三十訓】妖刀『紅桜』 其ノ四
「それよりも、○○殿が無事でよかった」
死を装い、自由を得た桂はエリザベスに変装し、この船内に潜入していた。
○○が捕まったことを知り、救出を試みたが上手くいかず、右往左往しているうちに○○は勝手に脱出した。
「何言ってんの。それはこっちの台……詞?」
○○は首を傾げた。
桂は攘夷の徒。かつてはこの手で捕らえようとしていた相手。
無事でよかったなどと、なぜ思うのか。
桂は撤退を指示した。
退路は俺達が守ると、銀時と桂は刀を構える。
「銀さん」
○○は銀時の身体を案じる。
連日の戦いで立っているだけでやっとのはず。
「先に戻ってろ、○○。心配すんな。俺もすぐに行く」
銀時は背中を向けたまま○○に告げた。
しかし、○○は動けない。不安そうに見つめている気配を感じる。
「行ってくれ」
銀時は目の端を○○に向けた。
口元には微かに笑みを湛えている。
「屍の中にいるお前の姿なんざァ、いつまでも見ていたくねーんだ」
○○は銀時を信じ、その場を託した。