第31章 【第三十訓】妖刀『紅桜』 其ノ四
「高杉の野郎とは、会ったのか」
唐突に出た名前に、○○は眉をひそめた。
「銀さん、アイツと知り合いなの?」
幼なじみだと聞かされていないと、その反応で知る。
銀時、桂と同じく、高杉も○○と同郷であり、三人しかいない○○の友人の一人だった。
知らされていないのならば、わざわざ教えることはない。
「……攘夷戦争の頃に、一緒に戦ってたヤローだ」
○○は目を見張る。
桂のみならず、高杉とまで知り合いであることに驚きを隠せない。
○○の丸い瞳の中に、銀時は幼き日の○○を見る。
自分と桂と高杉と、競うように○○に自分の剣術を教え込もうと争った挙句、○○をほったらかして喧嘩を始めた。
喧嘩が終わるまで、○○は目を丸くして見ていた。
あの時、最初に○○のことを思い出して喧嘩を止めたのは――
「どけ。俺は今、虫の居所が悪いんだ」
この男だった。
「ヅラ!?」
○○は振り返る。
「アンタ……生きてたの?」
「この通りだ。○○殿を残して死にはせん」
桂は腕を振り、刀身についた血を振り払った。