• テキストサイズ

~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第30章 【第二十九訓】妖刀『紅桜』 其ノ三


「お前さん、記憶喪失なんだってな」

 高杉は○○を見下ろしながら口を開いた。
 ○○は手首を動かす。括られた縄が緩む気配はない。

「その上、今度は拐わかしたァ、数奇な運命じゃねーか」

 高杉は膝を折り、○○と目線を合わせた。
 ○○の顔へ向けて煙を吐く。
 その匂いに眉をひそめる。

「あの男がなんて言って俺の所にお前さんを置いて行ったか、わかるか?」

 ――アンタへの手みやげだ

 勝手に『紅桜』を持ち出した岡田は、右腕を失って戻って来た。
 肩に女を乗せて。

「どういう意味かわかるよなァ」

 高杉は○○の顔に手を伸ばした。
 ○○は顔を引く。
 伸ばされた手を躱し、足でその手を蹴り払った。

「やれるもんなら、やってみな」

 ○○は高杉を睨みつける。
 高杉は口元を緩めた。

「気の強ェ女だな」

 必ず無事に銀時の元へ帰らなければならない。
 自分の身に何かあれば、銀時は自分を責める。
 そんなことはさせられない。

「クク……」

 笑いながら高杉は立ち上がった。

「安心しな。てめーみてーな小汚ねェ田舎女に手ェかける程、女に困っちゃいねーよ」

 高杉の姿は後方へと消えた。
 扉が閉まる音と共に、静寂が訪れた。
/ 483ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp