第27章 【第二十六訓】フルーツポンチ侍VSフルーツチンポ侍の話
「なんで男一人でこんな道、疾走しなきゃなんねーんだ!? お妙さんと来たい!」
「あ、やっぱり近藤さん」
フルーツチンポ侍、その実態は真選組局長、近藤勲。
現在彼等が走っているのはラブホテルが建ち並ぶ小路。
一人身の寂しさを噛みしめながらも、近藤は敵を追いかけ走っている。
近藤が相手ならば、桂が逃げている理由もわかる。
「幕府の犬め。動物的勘がかなり鋭いようだな。ゴリラ的勘が……ぐお!」
「うわ!」
再び走り出した桂は、今度は人間に衝突した。
建物から出て来た男女二人の男の方に、桂は激突した。
ぶつかった男は後ろへ尻もちをついた。桂の血まみれの顔を見て、男女共に怯えている。
「ヅラ!」
後ろを見て駆けていた桂は、受け身も取れずにコンクリート地面に叩きつけられた。
「くっ、新たな敵か……!?」
「違うわ!!」
桂の剣幕に、男女は悲鳴を上げて逃げた。
「もはや、ここまでか……!」
片膝をついて、桂は呟いた。
今の激突で左足首を捻ってしまったらしい。これ以上、走り続けることは不可能。
そもそも、頭の出血の時点で尋常な人間ならば倒れているはずだ。
「○○殿、お主だけでも逃げ切ってくれ……!」
悲劇的表情で桂は叫ぶ。
「いや、私、見つかっても捕まらないんだけど」
「日本を頼む!」
さあ早く! と、○○の言葉をまるで聞かず、桂は一人最期の刻を覚悟している。