第27章 【第二十六訓】フルーツポンチ侍VSフルーツチンポ侍の話
「もう本当うぜェよ! 銀さんの苦労がわかるよ!」
「○○殿、何を……!」
○○は桂の左側へまわり、背中に腕を回すと桂を立ち上がらせた。
「まだ少しは歩けるでしょ」
○○は男女二人が出て来た建物に桂を導く。
この通りは全て経営目的が同じ建物しか並んでいない。
ラブホテルの通り。
「な、何をしているのだ、○○殿!」
いくら俺達の間柄でも、いきなりこんなことはマズイだろう。
しかも初めてがラブホテルなど、ムードのカケラもないなどと訴えている。
「人が手伝ってやってるんだから、大人しく言うこと聞いてなさいよ」
元々、○○は真選組として桂を追っていた。
桂が幼なじみだというから、真選組の面々に通報もせず、今はこうして隠れる手伝いまでしている。
「手伝うって何をだ! 俺の欲望を吐き出すための手助けか!! 大人しくって……お、お……」
桂は激しく勘違いをしている。
「俺にマグロになれと言うのかァァァ!」
桂は○○の腕を振り払い、超高速で駆け去った。
「走れんのかよ……」
一人になった○○の元に、追っ手の魔の手が伸びた。
「あ!? ○○!?」
「近藤さん」
間一髪、桂は近藤の目撃を免れた。
危機一髪だったなァ、ヅラ……と思っていた所に、近藤の怒声が飛ぶ。
「なななな何やってんだこんな所で!!」
その顔は青ざめている。
肩に乗せられた手はフルフルと震えている。
「近藤さん?」
○○は首を傾げる。
近藤の背後の建物を見て、近藤の様子がおかしい理由にようやく思い当たった。
ホテル、ホテル、ホテル。目に入る範囲全てにピンク色の看板が並んでいる。
しまった、と思ってもあとの祭り。
「近藤さ――」
「黙らっしゃい!!」
○○は強制送還された。
誰と行くんだ! いや、もう行ったのか!? イヤァァァ、○○が汚れたァァ!
などと、その日の夕方は拷問部屋から近藤の悲鳴が轟いた。