第27章 【第二十六訓】フルーツポンチ侍VSフルーツチンポ侍の話
「何してんだ、こんな所で」
窓が開き、顔を出したのは土方だった。
運転席には沖田が座っている。
「万事屋に行くんだよ。そっちこそ、どこ行くの?」
サイレンは回っていない。事件ではないはず。
巡回ルートとも違うので、普段は通らない道のはずだ。
「奉行所だ。とっつァんが痴漢容疑で捕まっちまってな」
「とっつァんって、松平の? あの人、痴漢するような人?」
松平片栗虎といえば、泣く子も黙る警察庁長官。
一度だけ話をしたことがあるが、○○の身の上話を聞いて涙ぐんでくれたような人情味のある人だ。
痴漢をするようには思えない。
「それを調べに今から行くんだ。○○も遅くならねーうちに屯所に帰れよ」
煙を一筋吐き出したのち、土方は窓を閉めた。
そのまま車は走りだす。
「今日も屯所に帰ると思ってるのかな、トシの奴」
まァ帰るけどと思いながら、○○は足を進める。
神楽と三人、一つ屋根の下。
○○と銀時が何をしていようが神楽は気にしないだろうが、○○としては、大人としてはそうはいかない。
一緒に暮らすのはよくないと、○○は万事屋から出ていた。