第26章 【第二十五訓】一寸の虫にも五分の魂の話 其ノ二
「将軍のペットぉぉ!?」
「そうだよ」
事態が変わり、土方は真実を告げるしかなかった。
近藤と土方、○○と銀時と新八は、神楽を捜して歩いている。
「○○は知ってたんだな」
先程の慌てぶりを見れば、全てを知っていたにも関わらず黙っていたことは明白。
「俺より真選組か? こいつらを選ぶのか?」
「選ぶとかじゃなくて、将軍様のペットだよ。失敗したら切腹モンだよ」
真選組と万事屋は混ぜるな危険。
どちらにも身を置いている自分の言うことではないが、両者交われば何かが起こる。
瑠璃丸捜しに悪影響が出かねない。
「守秘義務もあるしね」
「守秘義務って、お前隊士じゃねーだろ。お前に明かしてる時点で教えた奴が除隊モンだろ」
「山崎だね」
真選組の内部事情をなんでもかんでもホイホイホイホイ教えてくれる。
監察時代に情報共有をしていたからか、今でも山崎は○○に何を伝えるにも抵抗がない。
事こうなってしまったゆえ、近藤は銀時に協力を仰いだ。
「協力?」
瑠璃丸は今、神楽の手中にある。
返す代わりに報酬の六割を寄越せと、銀時は口元を緩めている。
ニヤける銀髪の向こう側に、○○は二人を見つけた。
「笑ってる場合じゃなさそうだよ」
「ハハ……」
崖の上で神楽と沖田が対峙している。
神楽は喪った相棒、定春28号の代わりに定春29号こと瑠璃丸を得た。定春28号を喪うきっかけとなった沖田に再戦を挑むため。
対する沖田は向かう所、敵なしカブトムシ相撲の猛者。