第27章 【第二十六訓】フルーツポンチ侍VSフルーツチンポ侍の話
「遅いなァ……」
往来に目を向ける。銀髪パーマは見えない。
待ち合わせは午後一時半。すでに三十分が過ぎている。
今まですっぽかされたことはあっても、遅れたことはない。
万事屋に電話を入れても、誰も出なかった。
この頃銀時は、新八とエロメスのデート尾行に巻き込まれていた。
もう来ないだろうと、○○は万事屋への道を歩いた。
屯所に戻って以来、万事屋に顔を出さない日が多いが、銀時と会っていないわけではない。
こうして待ち合わせをして落ち合っている。向かう先はもっぱら、ラブホテル。
歩いていると、前方から来たパトカーが○○の横に停車した。
「何してんだ、こんな所で」
助手席の窓から顔を出したのは土方。
運転手は沖田。
「万事屋に行くんだよ。そっちこそ、どこ行くの?」
サイレンは回っていない。事件ではないだろう。
巡回ルートとも違うので、普段は通らない道のはずだ。
「奉行所だ。とっつァんが痴漢容疑で捕まっちまってな」
「とっつァんって、松平の? あの人、痴漢するような人?」
松平片栗虎といえば、泣く子も黙る警察庁長官。
一度話したことがあるが、○○の身の上話を聞いて涙ぐんでくれたような人情味のある人だ。
「それを調べに行くんだ。遅くならねーうちに屯所に帰れよ」
煙を一筋吐き出したのち、土方は窓を閉めた。
車が走りだす。
「今日も屯所に帰ると思ってんだ、トシの奴」
まァ帰るけど、と思いながら○○は足を進める。
神楽と三人、一つ屋根の下。
○○と銀時が何をしていようが神楽は気にしないだろうが、○○としては、大人としてはそうはいかない。
一緒に暮らすのはよくないと、○○は万事屋から出ていた。