第23章 【第二十二訓】隠し子騒動と盲目の剣士の話 其ノ一
「ヤバイ、ぐずりだした」
○○と銀時は赤ん坊へと目を移す。
ようやく解放された新八は、青い顔でゼイゼイと呼吸をしている。
神楽があやしても、赤ん坊は泣き止まない。
多分お乳がほしいんですよと新八が口にした矢先、赤ん坊が○○に向かって手を伸ばした。
「○○、乳出るアルか?」
「出るかァァァ!!」
さっきまでの叫び声のままに、○○は声を上げた。
「○○さんがお母さんに見えてるんじゃないですか? ここに女性らしい女性は他にいませんし」
「ドウイウ意味ダ、コルァァァァ!!」
キャサリンの怒声が飛ぶ。
子どもの神楽、年増のキャサリン、婆さんのお登勢。
母親らしい雰囲気を感じ取れるのは、○○だけ。
そういう意味。
「赤ん坊のくせにもう女選んでんのか?」
「そうですね。銀さんにそっくりですね」
「あ!? お前に赤ん坊の頃の俺の何がわかる! 何をしっているというんだ!」
銀時は新八に睨みを利かせる。
神楽から手渡され、○○は赤ん坊を抱いた。
純真無垢な瞳が○○に向けられる。
乳を欲しているようだが、当然、母乳など出るはずがない。
「こっちに寄越しよ」
台所に向かっていたお登勢は哺乳瓶にミルクを入れて戻って来た。
お登勢に抱かれた赤ん坊は美味しそうにミルクを飲んだ。
「飲んだ!!」
「飲みましたよ!!」
愛らしい姿に、○○と銀時以外はキャッキャキャッキャと沸き立っている。
ミルクが足りないと、お登勢とキャサリンは買い出しに行った。
二人はミルク以外にも玩具などを買い揃えて帰って来た。