第23章 【第二十二訓】隠し子騒動と盲目の剣士の話 其ノ一
○○の指から逃れた銀時は、真っ直ぐに○○の目を見て宣言した。
「俺ァ責任のとれないようなことはしねェ!」
身の潔白を訴える。だが、○○の疑心は晴れない。
じーっと、その目を見つめ返す。両者、瞬きもせずに見合っていたが、先に折れたのは銀時。
○○の視線に耐えきれなくなったのか、ボソリと付け加える。
「……酔ってなければ」
「あ゛あ゛?」
○○は絞り出すような声を漏らす。
この男の性生活は乱れているのではないかと、前から思ってはいた。
だが、さっちゃんの件があり、その際は潔白が証明された。
思いの外、しっかりしているのかもしれないと思った自分が浅はかだった。
そうとわかっていて惚れてしまった自分が悪いのか。
「銀さん、ヒドイですよ。○○さん、銀さんのこと愛してるからこそこんなに怒ってるのに。少しはフォローしてあげて下さい。そんな女心もわからないんですか?」
新八の言葉に、○○と銀時は二人揃って表情を歪める。
「新八君! やめてよ! そんなこと口にするの!」
「ナマ言ってんじゃねェ! テメェみてーな童貞に女心のナニがわかるってんだ!」
○○は照れ隠しに新八の腹を拳で殴り、銀時は新八なんぞに女のことで諫められた屈辱で首を絞めている。
「ごふっ、苦っし……ッ!」
新八は虫の息。
ぎゃあぎゃあと喚く○○と銀時の声に、あぶーとの声が共鳴した。