第23章 【第二十二訓】隠し子騒動と盲目の剣士の話 其ノ一
「おはようございまーす」
入って来たのは、新八の心配を受けている人物。
「あ、やっぱり来るんですね。このタイミングで来るんですね。そう来ると思いましたよ。やっぱり」
こういう日に限って来るんだよなと、新八はブツブツ呟いている。
○○は階段に足を一歩かけた所で『スナックお登勢』から響く複数の声を聞いた。
この時間、スナックは営業時間外。訪れている人物は上の連中と相場が決まっている。
そのため、目的地を変更して一階の店に向かった。
「新八君、何をそんなに饒舌に……」
○○は目を見開いた。
神楽の手に抱かれた赤ん坊。死んだ魚のような目をした銀色天パの赤ん坊。
○○はゆっくりと右手を上げ、人差し指をその小さな小さな体に向けた。
ゼンマイ仕掛けの人形のように小刻みに首を動かし、カウンター席に座る人物に目を向ける。
目に入った顔は、赤ん坊とそっくりだった。
「銀さんの、子?」
知り合い百人中、百人がそう思う程にクリソツ。
「…………○○ちゃん、産んだ?」
頬を引きつらせ、顔を青くしながら銀時は苦し紛れの言葉を漏らした。
「産めるかァァァ!!」
○○は目の端を吊り上げて叫んだ。