• テキストサイズ

~月夜の紅~ 銀魂原作沿い小説

第23章 【第二十二訓】隠し子騒動と盲目の剣士の話 其ノ一


 その朝、万事屋、もとい『スナックお登勢』は静かに騒然としていた。

「腐ってる」
「腐ってるね」

 世の中全てを卑下したような疑惑の目を向ける新八。
 目の前の男の人間性全てを否定したような鋭い目つきのお登勢。
 二人の視線は銀時に注がれている。

「だから、身に覚えがねェって言ってんだろ」
「ばぶー」

 銀時の腕の中には、親指をしゃぶる赤子の姿。
 死んだ魚のような目をし、銀色の天然パーマという風体の赤ん坊。
 つまりは銀時と瓜二つ。みなが疑いの目を銀時に向けている。

 赤ん坊は万事屋へ上る階段の下に捨てられていた。
『あなたの子供です。責任とって育てて下さい。私はもう疲れました』という紙が添えられて。

「どうするんですか。この子の母親捜して、一緒になるんですか」
「だーから! この子の母親なんて知らねェ!」

 新八は溜め息を吐く。この場に○○がいなくてよかった。
 昨年末、姉は言っていた。「○○さん、銀さんに気があるみたいじゃない」と。
 銀時が○○のことを憎からず思っているのではないかと、新八は薄々思っていた。
 だが、姉は○○の側から銀時への恋情がうかがえるという。

 近いうちにしっぽりいきそうだと思っていた所にこの隠し子。
 ○○はショックを受けるだろう。
 折を見てそれとなく告げよう、どう告げようと考えている最中、ガラリと店の扉が開いた。
/ 502ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp