第22章 【第二十一訓】百万編の詩より一吠えのワン🐾の話
「狛神?」
大江戸ドームの中へと逃げながら、ようやく大体のことを聞くことが出来た。
定春は宇宙生物で、江戸最大の龍穴である『黄龍門』を守っていた狛神だった。
巫女姉妹は共に龍穴を守って来た神殿の巫女だったが、龍穴の上にターミナルが建てられたため、追い出されてしまい失職。
生活に困って定春を捨て、それを神楽が拾ったらしい。二人はテレビで定春を見て、やって来たという。
「で、どうすればいいの、それでェェ!」
理由はわかった。
だが、定春を止める方法は何一つわからない。
「ワンワン!」
足元から聞こえた鳴き声に、○○は目を向けた。
定春をミニマム化した犬がさっきから並走している。
愛くるしい姿に抱きつきたくて仕方がないが、そんなことをしている時ではない。
「狛子!!」
それは定春と同じく狛神の狛子。
阿音と百音は狛子を覚醒させ対抗させようと、いちごとミルクを狛子の口に放り込んだ。
「目覚めよ! 狛神ィィ!!」
ぎゃおおおと覚醒した狛子は、相変わらずのミニマムサイズだった。
顔だけが定春のように鬼の面となっている。
狛子は守りを司る狛神。小さいなりにも結界を張り、定春の行く手を阻んだ。
その間に六人は球場内へと急ぐ。