第22章 【第二十一訓】百万編の詩より一吠えのワン🐾の話
「私に考えがあるの」
験力を込めた球を投げ、五芒星となるように軌跡を描く。
その内部に定春を閉じ込めれば、覚醒が解けるかもしれない。
定春を真ん中に据えなくては、その作戦は成り立たない。
無茶だと新八は弱音を吐く。やるしかないと神楽。
「五芒星じゃなくて、六芒星にしようよ。どっちも魔除けの効果はあるんだから」
六人なんだしと、○○の提案。
「本来は五人で五芒星でいいだろうけど、ここにはホラ私がいるんだから」
「○○さん、言ってはいけない発言です、それ」
新八は頬を引きつらせる。
「ていうか、六芒星ってキャッチボール出来る形じゃないじゃないですか」
「出来るよ」
○○はマウンドに指で形を書いた。
「ここからはじめて下に行って、上、下、上、下、上」
「ああ、なるほど」
そうしている間に定春は壁を破壊し、姿を現した。
各々ホームベースから三塁ベースまで散らばり、等間隔で位置をとる。
「プレイボーイぃぃ!!」
投球は、送球方向も掛け声も何もかも間違った阿音から始まった。
新八に向けて悪送球、かろうじて捕球した新八は迫り来る定春に怯えながら○○に投げる。
○○から百音へ。顔面でボールを宙に弾いた百音。銀時がカバーに入り、神楽へと投げる。
だが、定春から逃げていた新八が軌道上に割り込み、顔面で弾く。
「新八ィィィィ!」
「どこまでも運の悪い子!」
○○と、阿音は揃って球の捕球へと走る。
だが、二人とも間に合いそうにない。
「ほああああ!!」
猛スピードで届いたのは神楽。そのまま銀時へとキックで送球する。
だが、そこには誰もいない。銀時はまだカバーに入った百音の場所にいた。
代わりに捕球へと入った百音は再び顔面ボレー。それでも時間は稼げた。銀時が補助に入り、再び阿音の元へ。
「定春ぅぅぅ!! 目を覚ませェェ!!」
マウンドに浮かび上がる光。
「定春ぅぅ!!」
覚醒が解かれ、元に戻った定春の姿がそこにあった。