第22章 【第二十一訓】百万編の詩より一吠えのワン🐾の話
「○○か!? なんでパトカー運転してんだ!」
鬼化した定春を○○は追っていた。
定春の行く先から建物が壊される音が轟くため、行くべき方角は特定出来た。
だが、猛スピードで疾駆する定春が相手。その距離は開くばかり。
そんな所に、定春を追って来た真選組隊士が乗ったパトカーと遭遇。○○はパトカーを分捕った。
アクセルとブレーキがわかればどうにかなるだろう。非常事態につき無免許でも仕方ネェと突っ走った。
ゴーカート感覚でハンドルを操作し、大江戸ドームの上にいた定春の元へとたどり着いた。
「危ねェ運転してんじゃねェ!」
地面に投げ出された銀時はすぐに起き上がった。
無免許運転にはつっこまない。
「あいてて……」
スクーター後部には新八も乗っていた。
新八もすぐに立ち上がる。
「よかった! 新八君! 無事なんだね!」
○○は大仰に安堵を見せる。
「俺が無事だったことに対してはなんもなしか?」
「だって新八君の場合、銀さんと違って簡単に死んじゃいそうだから」
銀時の場合、記憶が飛ぶ程度のこと。
擦り剥いた腕を気にしている新八は、二人の会話を聞いていない。
「うがァァァァ!!」
雄叫びに三人は揃って視線を上げた。