第22章 【第二十一訓】百万編の詩より一吠えのワン🐾の話
「……なんだ。やっぱ飲みすぎたな。やたら定春がでかく見えるぞ」
「銀さん!」
声が聞こえ顔を向けると、銀時が腹這いになって伏せていた。
玄関から匍匐前進の格好で入って来たようだ。
夜を徹して飲み歩き、ようやくの帰宅。
「あ、○○が見える。やっぱり幻覚見えてらァ。○○が万事屋にいるわけないもんな。最近、真選組に入り浸って戻って来ねー○○ちゃんがな。相当酔ってんだな」
隈の濃い目を○○に向ける。
えいりあん騒動の日に真選組の屯所へと戻った○○は、しばらく屯所に滞在していた。
そうしている間に江戸で花粉症が蔓延。万事屋周辺は特にヒドイため帰らない方がいいとの助言を新八に受け、万事屋とはご無沙汰。それ以降、○○は屯所に住むようになっていた。
「今日はバイトもないから来たんだよ。夢でも幻でも蜃気楼でもない実体だってば」
ペチペチと、○○は銀時の頬を叩く。
「水、持って来ようか?」
「いや、いちご牛乳」
「○○さんまで、何寝ぼけたこと言ってんすかァァ!! この状況を見ろォ!!」
「定春が一夜にして巨大化したネ!!」
ぐわばっと定春の口を押し上げ、新八と神楽は顔を現した。
今にも食われんとしている二人を前にのほほんと交わされる会話が聞こえ、何クソとバカ力を発揮した。