第20章 【第十九訓】でんでん虫虫エスカルゴの話
「勘弁してよ。おじいさんの世話を頼まれてるんだから。今日だけは大人しくしてもらわないと!」
何かあったら報酬に響くじゃないと、○○はそろばんを弾く。
「そんなこと言ってる場合ですか!」
「どけ」
新八と○○の間を抜け、銀時は木の根元へと近づいた。思いきり木刀を振る。
木はボキリと折られ、おじいさんは池の中へと落下した。
「ちょっと! 殺しちゃったら依頼料どころじゃないよ! 慰謝料払わなきゃいけなくなるよ!」
「お金の問題じゃないです! 捕まりますよ!」
木ごと池へと落下したおじいさんは、
「キャホゥゥゥ!!」
と元気に水中から飛び出して来た。
屋敷の外に出ようと、おじいさんは逃亡の姿勢を見せる。
追いかける銀時、○○、神楽、新八。
「銀さん!」
傍らを走る銀時に、○○は手のひらを向けた。
銀時は腰の木刀を○○に投げた。『夢幻教』に乗り込んだ日以来、○○の木刀は銀時が二本差しで持ち歩くようになっている。
「キャホゥゥゥ!!」
おじいさんは手裏剣のようにエスカルゴを飛ばして来た。
木刀、木刀、傘、顔面でそれぞれ攻撃を受ける。
弾かれたエスカルゴは建物へと方向を変え、屋根や障子を破壊する。
「ちょっとォォォ! 家メチャクチャになってますよ!」
「アレはおじいさんが投げたエスカルゴ。修繕費は出さない、出さない、出さない」
「何唱えてるんですか、○○さん!」
銀時はおじいさんに狙いを定め、木刀を放り投げた。
木刀を避けながら、おじいさんは目の前の部屋に飛び込んだ。
四人がその後ろから部屋へと飛び込むと、おじいさんは寝たきりのおばあさんの布団の上に倒れ込んでいた。