第20章 【第十九訓】でんでん虫虫エスカルゴの話
「これアレだよ。皿だよオメー」
どうしてもかたつむりが食べ物だとは思えない銀時は、その結論に達した。
「なるほど」
「いや、○○さん、納得しないで下さい」
神楽は閃いたように声を上げた。
「私の見とくネ」
神楽はエスカルゴをフリスビーの如くぶん投げた。
その投球はお手伝いさんにクリーンヒット。
「なるほど。お手伝いさん呼ぶ時に使うんだ。だから円盤状なんだ」
銀時と銀八と神楽は倒れ伏したお手伝いさんを見下ろしている。
心配しているのではない。さらにエスカルゴをぶつけている。
新八は「違うんじゃないですか?」と苦言を呈している。
○○だけは席を離れず、その場でボコ殴りにされているお手伝いさんをチラ見していた。
「でもそれだと、一人一回しか呼べないんじゃない?」
エスカルゴは一人一つ。何度もお手伝いさんを呼べない。
だから大切に使わねばと、○○は自分の前のエスカルゴに目を向けた。
すると同時に、前の席が目に入った。今まで誰もいなかったその席に、おじいさんが座っている。
その人は頭にかたつむりを乗せて料理を食べていた。
「銀サン、銀サン」
「んだよ……」
○○は着物の袖を引っ張り、銀時を呼んだ。
振り返った銀時、同じく振り返った新八と神楽は、その姿を目に捉えた。四人は目配せをした。