第19章 【第十八訓】細かく数えなきゃ煩悩って108もなさそうな話
「え? 姉上? それってどういう……」
「あら、新ちゃん、あなたの目は節穴?」
さも意外そうな目を弟に向ける。
「○○さん、銀さんに気があるみたいじゃない」
「え?」
新八は頬を引きつらせた。
そのこめかみからは、真冬だというのに一筋の汗が流れ落ちる。
「えええええ!? マジですか!?」
「マジですよ。見ていればわかるじゃない」
見てわかるのは銀時の態度であって、○○ではない。
誰に対してもぞんざいな扱いを見せる銀時が、○○に対してだけはどことなくやんわりと接している。
○○が万事屋に転がり込んで来た頃とは、明らかに態度が変わっている。
○○の方は、何も変わっていないように思える。
「あ、でも、そういえば……」
最近は定春に銀時を噛めと命令を下す姿は見ていない。
言い争いをする機会が減ったせいかとも思うが、それだけではないのだろうか。
銀時の寝坊を咎めることもなくなっている気がする。
「じゃあまさか、あの二人って両想い?」
銀時と○○が仲睦ましげにしている姿を想像する。
「うえっ、なんか、気色悪い……」
新八は口を押さえた。