第19章 【第十八訓】細かく数えなきゃ煩悩って108もなさそうな話
「銀さん……どこまで行ってるんだろ」
○○は不安そうに窓の外を見つめる。
このあと、みんなで初詣に行くことになっているというのに未だ銀時は戻らない。
「四人で先に行きましょう。戻ってみんないなければ、銀さんも来るでしょうから」
新八は立ち上がり、上着を羽織ながら笑顔を向けた。
「定春も初詣に行くネ! 早く出て来るヨロシ!」
神楽は定春の前脚を引っ張った。
定春は抵抗している。ぬくぬくのこたつの中にいたいらしい。
○○も立ち上がり、外出の準備をした。
ようやく揃って外に出た所で、○○は告げた。
「私、やっぱりちょっと銀さん捜して来るよ」
「○○さん!」
新八の声にも振り返らず、○○は駆けて行く。
「行かせてあげなさい」
「姉上。でも、こんな時間に女性一人で出歩くなんて」
「○○さんなら、大丈夫でしょ」
○○の手には、しっかりと木刀が握られていた。
痴漢が出ようが悪漢が出ようが、○○ならば一撃で仕留められるだろう。
「それはそうですけど」
「仕方ないわ。銀さんと一緒に初詣に行きたいんでしょうから」
妙は微笑んだ。