第19章 【第十八訓】細かく数えなきゃ煩悩って108もなさそうな話
毎日毎日、ジャスタウェイ作りに精を出す近藤。
○○は考える。土方や沖田ですら近藤の記憶を呼び起こせないとなると、他にどんな手があるだろうか。
近藤の脳に一番影響を及ぼしそうなもの。考えて、恒道館に向かった。
「近藤さん、これでどうですか」
○○は一葉の写真を近藤の目の前に突き出した。
そこに写っているのは、今にも着物を脱ごうとしている妙の姿。
肩は肌蹴ている。ただの写真では意味がない。近藤の記憶に多大な影響を及ぼす写真でなければ。
撮影の瞬間、妙は目を吊り上げて振り返った。
一心不乱に○○は逃げた。捕まれば、抹殺される。
命からがら逃げることに成功し、○○は足早に屯所へと戻った。
「○○! ここここの写真、俺にくれ! 買取でもいいから!」
近藤は興奮しながら声を上げた。
「あ、近藤さんだ。おはようございます」
その瞬間、近藤の記憶は蘇った。
写真は近藤の手に渡ることなく、○○の手で抹消された。
あんなものが妙の目に触れれば、近藤も○○も冥途送りにされてしまう。
盗撮されたと妙は騒ぐだろうが、犯人が○○とは気づいていないはずだ。
無事に近藤の記憶は戻ったが、今日の昼まで○○は屯所に滞在していた。
大晦日も近いことだしと、大掃除の手伝いも兼ねて泊まっていた。
年越しの準備も終わり、○○は恒道館へと戻った。