第20章 【第十九訓】でんでん虫虫エスカルゴの話
「忘れられるって寂しいね。ジャン・ジャック・ルソー」
○○は犬と戯れていた。
太郎という名のその犬は、偉大なる思想家へと成り代わった。
謎のかたつむり老爺と食卓を共にしている所へ依頼主がやって来た。
老人は依頼主の父であり、痴呆の進んでしまった父を世話してもらいたいというのが依頼だった。
「私、あんな風に気丈でいられるかな」
愛し、愛された人の記憶から自分が抜け落ちても。
老人の妻、依頼主の母は体を壊して寝込んでいた。
その妻の前で老人は「愛人に会ってくる」と言って出て行った。
「銀さんもヅラも、私に忘れられてるのに悲しいとか思わないのかなァ」
○○は太郎の頭を撫でた。
おばあさんは、おじいさんを放っておいてあげてと頼んだ。
おじいさんはおばあさんの看護をするために打ち込んでいた花火作りをやめ、それから様子がおかしくなってしまったらしい。
「私に忘れられてもどうでもいいっていうことなのかなァ。ね、ジャンバルジャン」
太郎は物語の主人公になった。
銀時も桂も、記憶を失った○○に対して寂しさはまるで見せない。
自分の存在が忘れられているというのに。