第18章 【第十七訓】どうでもいいことは忘れていい話
「えっ、ちょっと、あの工場だよね?」
最近、その工場で白髪頭の男が住みこみで働いている――
新八が得たのは、お登勢からの情報だった。
地図を頼りに銀時を捜しに来た三人は爆発を目にした。
「そうです。あの場所です」
新八は地図に目を落としている。銀時は無事だろうか。
以前の銀時ならば心配ないが、今の銀時では無茶は出来ないだろう。
「え、何か事件?」
工場へと近づいた○○は、見知った白黒の車体と、見知った黒い制服姿の男達に気がついた。
真選組隊士が工場の周りを囲んでいる。ただの事故ならば、ここまで多くの隊士は動員されないはず。
そう思った矢先、工場の屋根に大砲が姿を現した。
大砲に足をかけ、一人の男が叫んでいる。
声は○○までは届かないが、彼の足元、大砲の下部に縛られた三人の男の姿は捉えることが出来た。
まず目に入ったのは、目立つ白髪頭。
「銀さん!」
銀時は三人の中心で縛られていた。
両側の人物に目を向けた○○は、彼等も知り合いであることに気がつく。
「近藤さんと、山崎?」
どうしてあの二人が銀時と一緒にいるのだろう。
三人の姿があった場所が突然爆発した。
煙が晴れた向こうに銀時の無事な姿があり、安堵するが、状況は何も変わっていない。
銀時はまだ縛られたまま。だが、近藤と山崎は爆撃により、身動きがとれるようになっていた。
銀時を助け出し、三人は猛然と駆けて来る。
「銀さん!」
工場から逃げる三人とは反対に、○○、新八、神楽の三人は銀時の元へと駆ける。
彼等の背中を狙うように、工場から大砲が放たれた。
「銀さん! 近藤さん! 山崎!」
銀時と山崎をかばい、近藤は気を失って倒れる。
砲撃は地面をえぐる。
「止められるものなら止めてみろォォ」
大砲の上に乗り、男は声を上げていた。