第18章 【第十七訓】どうでもいいことは忘れていい話
「それは大変だったわね」
四人は恒道館道場へと向かった。
「一回記憶が飛んでるから、ちょっとの衝撃でまた飛んじゃうみたい」
○○は溜め息を吐いた。
パトカーがつっこんで来た衝撃と、爆弾の爆発による衝撃で、銀時はまたしても全ての記憶を失った。
○○、新八、神楽は、自分達の存在から再び説明する羽目になった。
「私のことも忘れてしまったのかしら?」
一方的に忘れられていることに妙は怒り心頭。
記憶を蘇らせようと銀時の胸倉を掴み、拳を振り上げた。
「お妙さん、私の話、聞いてた?」
また自分達の存在から説明するなど、真っ平ご免だ。
○○と神楽は妙を止めた。
「必ずあなたのことも思い出しますので、それまでしばしご辛抱を」
銀時は妙の手首を掴んで告げた。
いつもの腑抜けたツラではなく、その表情はキリリと引き締まっている。
「今の銀サンの方が真面目そうだし……、す……素敵じゃない」
妙は頬を赤らめ、態度を一変させた。昔のことは忘れ、新しく生きていけばいいと。
「まさかホレたんかァ!?」
姉の態度に危機感を抱いた新八と、
「また締まりのない顔になりますよ!!」
この男が声を上げた。
「近藤さん!」
真選組局長、近藤勲。
彼はこたつから顔を覗かせた。
「○○、久しぶほっ」
「何をしてんだ、てめーは……」
妙は近藤の頬にためらいなく足を乗せた。
お土産だと言い、近藤は溶けたアイスを新八に差し出す。