第17章 【第十六訓】ドリームキャッチャーな話
「銀さーん! 神楽ちゃーん!」
新八と○○は銀時と神楽を見つけた。
「あ! 銀さん! 髪型元に戻ってる!!」
○○は走ったまま勢いを止めず、銀時の頭に飛びかかった。
ヤッホーイ! と天然パーマに指をつっこみ、またまた捏ね繰り回す。
「いでででで! オイ! まだ接着剤が残ってんだ!」
○○の手の動きに合わせて、銀時の頭が動く。
髪の固まった部分に○○の指が絡まると引っ張られる。
銀時のサラッサラヘアーはカツラだった。接着剤で固定されていたのをようやく剥がした所だ。
銀時は騙されたフリをし、内部に潜入しただけだった。
「それより、姉上と花子ちゃんが!!」
銀時と神楽を除く四人はお金を取り戻そうと斗夢の部屋への侵入を試みた。
屋根を徘徊して部屋は見つけたが、四人の重さに耐えられずに屋根は崩落。
斗夢に見つかった四人は一目散に逃げた。新八と○○は逃走に成功したが、妙と花子は捕らえられてしまった。
「早く助け出さないと!」
焦る新八。裏腹に銀時は落ち着いている。
何かを考えているようだ。
「銀さん、二人を助ける方法、思いついてるの?」
○○が問いかけた。
「インチキ宗教そのものを潰す方法だな」
銀時と神楽は斗夢の起こした奇跡の秘密を暴いた。
偶然の偶然、全くのたまたま、棚から牡丹餅的に。
厠から忍者が出て来る所を目撃した二人は、それが忍者の手によるものだと知った。
「よっしゃ。配置につくぜ」
「アイアイサー」
忍者は舞台の屋根裏に隠れているはず。
舞台の前方から神楽、後方から○○が屋根裏を探り、忍者の位置を特定する。
特定された位置を元に、屋根の上から銀時が忍者に攻撃を仕掛け、衆目に晒す。
その作戦を決行すべく、四人は動いた。
「インチキ宗教なのに、早くも夢が叶ったなァ」
○○は木刀を握りしめる。
極悪人を相手にした大活劇――
○○が語った願いが達成されるのはもう目前のはずだった。
だが、その願いは果たされなかった。
舞台の裏へと回るため、屋敷から出た○○は凍りついた。
夜空には、大きな満月が浮かんでいた。